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連載 紀行エッセイ「歩いて旅した東海道」
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原
駿河には過ぎたるものが二つあり 富士のお山に原の白隠こんな俗謡がある。沼津を出ると、東海道は海岸に並行しながら西進、定規で線を引いたような直線道…
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沼津
三島と沼津の間はおよそ六キロ。道も平坦なので、気がついたらもう沼津だった。川郭通りを抜け、狩野川に架かる御成橋の袂にやってきた私は、橋の中程から狩野川の…
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三島
昨晩は早々に眠りについたせいで、目覚めは早かった。今日も長丁場、出発は少しでも早いほうがよい。昨日旅を終えた元箱根を目指し、薄明の湖畔を歩く。朝露で湿っ…
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箱根
芦ノ湖に発する早川は、仙石原・宮ノ下を経て小田原で相模湾に注ぐ。小田原から湯本のあたりは下流らしいゆったりとした流れで、大小様々な石が横たわる川面を、静かにすり…
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小田原 (二)
日本橋から八十二キロの表示。通しでここまで歩いてきたわけではないが、一歩一歩の積み重ねがこうして数字に表れるのは嬉しい。とはいえ、五百キロ近い東海道の六分の一ほ…
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小田原(一)
小淘綾《こゆるぎ》浜の波音が、残響のように耳奥から聞こえてくる。その音に歩調を合わせるように、さらに西にを目指す。大磯から小田原まではおよそ四里…
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大磯
大磯町に入り花水川を渡ると、高麗《こま》山の存在感が一段と増す。お椀を伏せたようにころんと丸いこの山は、標高こそ百六十メートルほどと低いが、周りに高い建物がない…