すばらしい手仕事

桟切の美 

備前焼の里伊部で、目を奪われる作品に出会いました。

 

こちらは松嶋弘さんの花瓶。アシンメトリーな形と桟切の絶妙なバランスに一目惚れでした。

 

 

 

 

 

 

こちらは小西陶古のコーヒーカップ&ソーサー

紺鼠 薄鼠 藍鼠 黒鳶 赤墨…そんな色を追っていたら、金や銀も見えるではありませんか。

さらに手に持ったときの、手に吸い付くような肌理細かな質感たるや…

私が今まで抱いていた備前焼のイメージは、これを手にした瞬間変わりました。

この肌理の細やかさは、田圃の奥深くから掘り出した土を、何度も何度も漉すことで得られるとうかがいました。

 

同様の質感は、こちらの夏茶碗にも。

青備前です。

窯の中で酸素に当たらない状態で焼かれたときだけ生まれるのが青備前。

もっと青味の強いものもありますが、このお茶碗では青色は抑え気味で、檳榔子染びんろうじぞめ色といった感じです。

 

 

藁によって生み出された緋襷ひだすきの文様は、写真ではベージュ単色に見えますが、実際はそこに金色が重なり、雲の隙間から夕陽が漏れる夕空を見ているようです。

野趣、侘びさび、素朴、ときに豪快といったイメージの備前焼ですが、洗練、繊細、優美といった顔もあると知りました。

関連記事

  1. すばらしい手仕事

    琵琶湖真珠

    顔が映り込むほどの見事な照り、ほんのり桜色を帯びた柔らかな色…。目で捉…

  2. すばらしい手仕事

    京のよすが

    各地で紅葉が楽しめる季節になりました。紅葉狩りに行かなくても、いつも歩…

  3. すばらしい手仕事

    常滑焼

    常滑の町を歩いていたら、こんなシンプルでモダンな常滑焼きに出会いました…

  4. すばらしい手仕事

    有松絞り

    有松は鳴海宿の東二キロほどのところにあります。江戸時代の初め、…

  5. すばらしい手仕事

    飴釉の土鍋

    早くもお鍋がおいしい季節になりました。念願かなって手に入れた雲…

  6. すばらしい手仕事

    日永の団扇

    四日市を出てしばらくすると日永に入ります。…

最近の記事

連載記事

  1. 登録されている記事はございません。

アーカイブ

  1. 寄り道東海道

    浮島ヶ原
  2. すばらしい手仕事

    京のよすが
  3. 古社寺風景

    多治速比売神社
  4. 祭祀風景

    京都の節分
  5. 歴史散歩

    難波宮跡
PAGE TOP