祭祀風景

往馬大社の火祭り

大阪と奈良の境に南北に連なる生駒山地。その主峰生駒山の東麓に、生駒谷十七郷の氏神として古くから鎮座する往馬坐伊古麻都比古神社いこまにいますいこまつひこじんじゃ、通称 往馬いこま大社があります。

現在はこちらにあるように七柱がお祀りされていますが、古くは生駒山をご神体としたお社。本来の御祭神は伊古麻都比古神と伊古麻都比賣神です。

この男女の神様は、火を起こす木の神で、火燧木神ひきりぎのかみと呼ばれ、大嘗祭において亀の甲羅を焼いて占いをする際、火を献上してきたという歴史があります。

そんな火とゆかりのある往馬大社で、火祭りが行われました。

八日本祭の午後、神輿の渡御とぎょに続き、御供ごく上げ、奉弊、神楽の奉納、祭を差配する弁随べんずりによる舞の奉納などを経て、いよいよ火取りです。

高座の奥で火が起こされ、しばらくしてその火が二つの松明に移されます。

合図とともに火取り役は松明を担ぎ、石段を駆け下りると、瞬く間に視界から消えていきました。

その間わずか十数秒。ほんの一瞬の出来事でした。

神から賜った火を、大急ぎで人の世界に運んでいこうとしているのでしょうか。

往馬大社の神様の御神徳か、このあたりでは火災が少ないのだそうです。

祭が終わると、御神輿が拝殿に戻されます。

拝殿の周りでは、家内安全のお守りとして松明の燃えかすを受け取る人が列をなしていました。

往馬大社の火祭りは、奈良県の無形民俗文化財です。

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コメント

    • wpmaster
    • 2017年 10月 10日

    ゆずひめ様 こんばんは。当ブログをご覧くださり、またコメントをお寄せくださり、どうもありがとうございます。
    関西人にとって生駒山は手軽に行くことのできる親しみやすい山ですね。その一方で、生駒山にはいまも霊山の名残がいくつもあります。
    往馬大社もその一つ。後日、生駒山の別の信仰の形をアップする予定ですので、どうぞご覧くださいませ。

    各地で行われる伝統ある祭祀も、できる限りこの場でご紹介していきたいと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

    • ゆずひめ
    • 2017年 10月 10日

    こんばんは。
    いつもブログを楽しみに拝見しています。

    もう10年ほど前のこと、3年ちかくも生駒山をすぐ東に臨む土地に住んでおりましたが、
    このような歴史ある素晴らしいお祭りについて何も知らずに過ごしてしまい、大変残念に思います。

    生駒山の山頂からぐるり360度の美しい夜景を思い出しつつ、いつかまたこの地をゆっくり歩いてみたいと思っております。

    これからも、それぞれの風土が長い年月をかけて磨いて、受け継いできたお祭りをご紹介いただけたら幸いです。

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