祭祀風景

五山送り火

台風の影響が心配されましたが、十六日の朝には天気も回復し、夜の八時に無事如意ヶ嶽(大文字山)の大文字に火が灯されました。

最初小さな点だった炎があっという間に拡がり、夜空に炎の大文字が浮かび上がります。

古来、人は亡くなると山に帰り、お正月やお盆に里に帰ってくると信じられてきました。先日六波羅蜜寺で大の字に灯された炎を前に精霊を迎える萬燈会に参加しましたが、今宵はこの送り火によって精霊が山に帰っていきます。

大文字に火が灯されてから五分後、今度は妙法に火が灯されます。(妙は木に隠れてこの場所からは見えませんが、別のところで見ることができました。)

さらに五分後には舟形。そのまた五分後には左大文字。最後に鳥居形。

私が送り火を見届けた場所から一番よく見えるのは大文字ですが、少し移動すると鳥居形以外は見ることができました。

 

今年は父の新盆ということもあり、護摩木を奉納しました。自分で戒名や願いごとなどを書いて昨日納めてきたのですが、それによってこれまで見てきた五山送り火が、自分の祖霊の送り火としてより身近に感じられました。

 

 

お盆が終わると、精霊が帰ってしまう。そう思うと寂しい感じがしますが、私はこうして精霊を送りつつも、身近な人の魂は常にそばにあると信じていますので、明日からはまた一緒に。

 

 

 

関連記事

  1. 祭祀風景

    祇園祭(後祭)の宵山

    暑い暑いと言いながら、行かずにはいられないのが京都の祇園祭です。七月の…

  2. 祭祀風景

    京の六地蔵めぐり

    京都では祇園祭や五山送り火が終わった後も、夏の伝統的な信仰行事として六…

  3. 祭祀風景

    祇園祭 後祭の屏風祭

    四年ぶりに完全な形で行われた京都の祇園祭は、二十八日の神輿洗、二十九日…

  4. 祭祀風景

    伏見稲荷 火焚祭

    御火焚や霜うつくしき京の町 冬の京の町の情景として、与謝蕪村は…

  5. 祭祀風景

    祇園祭 後祭 山鉾巡行

    祇園祭の山鉾巡行が本来の形である前祭と後祭に分かれてから今年で十年目に…

  6. 祭祀風景

    祇園祭宵山

    二〇二〇年の夏、本来なら祇園祭で賑わっているはずの京都が新型コロナの影…

最近の記事

連載記事

  1. 登録されている記事はございません。

アーカイブ

  1. 祭祀風景

    吉田神社 節分祭
  2. 寄り道東海道

    長安寺(関寺)
  3. 心に留まった風景

    大野寺の磨崖仏
  4. 心に留まった風景

    霧の比叡
  5. 東海道の祭

    見付天神裸祭
PAGE TOP