心に留まった風景

益田岩船

飛鳥駅から北西に一キロほどの山中。薄暗い山道の先に光が射し込む場所に巨大石造物が忽然と姿を現します。高さは五メートル、横幅は十一メートル、奥行き八メートルほどの、益田岩船です。

あいにく背丈が足りず撮影できませんでしたので、橿原探訪ナビをご覧いただけたらと思いますが、上部に一、六メートル四方、深さ一、三メートルの穴が二つ開けられています。

こちらは反対側に回り込んだときの姿。

灌漑用の益田池の築造を記念して弘法大師が建立した石碑の台石であるとか、星占いのための台であるとか、諸説ありますが、未完の双室墓ではないかという説が有力のようです。

上から下に向かって穴を彫り、完成したところで穴が側面に来るように倒すと横穴式石槨になります。ところが途中で石に亀裂が入ってしまい、それ以上彫り進めることができなくなり、この状態で放置されたのではないか…ということです。

じっくり観察したかったのですが、すさまじいヤブ蚊に襲撃され目を開けていることもままならず、早々に退散しました。

飛鳥にはこのほかにも独特な形をした石造物が点在しています。益田岩船はその中でも最大のものです。

別の機会に、そうした石造物の風景をご紹介しますので、どうぞお楽しみに。

 

 

関連記事

  1. 心に留まった風景

    對龍山荘(一)

    昨年桜の季節に南禅寺界隈別荘群の一つ清流亭の様子を投稿しました。清流亭…

  2. 心に留まった風景

    越畑と樒原

    京都盆地の北西に愛宕山(標高九二四メートル)があります。飛鳥時代の大宝…

  3. 心に留まった風景

    小石川後楽園

    久しぶりに東京の話題です。東京ドーム西隣の文京区後楽に、水戸藩…

  4. 心に留まった風景

    安養寺

    前回触れた恩智遺跡は高安山西麓の扇状地にあり、中心は恩智神社旧社地の天…

  5. 心に留まった風景

    本居宣長旧宅 鈴屋

    国学者本居宣長は、江戸店持ち商人が活況を呈していた松阪で、木綿問屋を営…

  6. 心に留まった風景

    旧閑谷学校

    備前焼の里・伊部から車で十分ほど、周囲を山々に囲まれた閑谷《しずたに》…

最近の記事

連載記事

  1. 登録されている記事はございません。

アーカイブ

  1. 東海道の祭

    高来神社の御船祭
  2. すばらしい手仕事

    日永の団扇
  3. 古社寺風景

    いくたまさん
  4. 祭祀風景

    六波羅蜜寺の萬燈会
  5. 古社寺風景

    伊崎寺
PAGE TOP