寄り道東海道

元箱根の石仏

芦ノ湖から現代の東海道である国道一号線を小田原方面に戻るように進むと、精進池しょうじんがいけが見えてきます。その周辺に、中世に造られた石仏が点在し、元箱根石仏群と呼ばれ国の史跡に指定されています。

精進池のあたりは、ちょうど上二子山と駒ヶ岳の鞍部で、付近には中世箱根越えの道として使われた湯坂道が通っていました。

いまは車がさっと通過してしまう、なんということのない場所ですが、かつてはあちらこちらから噴煙が上がり、その不気味で荒涼とした様子から地獄として人々に恐れられていました。

 

そんな元箱根を通る旅人を救い守ろうと、このあたりに地蔵菩薩などが彫られたのです。

付近には流れ出た溶岩が固まった岩がたくさんあり、石仏を彫る条件が整っていました。

  

冒頭の写真と左上の写真は、二十五菩薩磨崖仏。右は通称火焚き地蔵と呼ばれる応朝地蔵磨崖仏です。

箱根には磨崖仏ばかりか、下の写真のような五輪塔や宝篋印塔ほうきょういんとうもあります。

  

 

白眉は高さ七メートルほどの岩に彫り出された六道地蔵磨崖仏です。

 ←撮影:奥田高文氏

像の高さは三、二メートル。箱根はもちろんのこと、関東地方でも最大だそうです。前に立つとその大きさが際立ちますが、まったく威圧感はありません。石像なのにどこか温もりを感じ、ゆったりと見守られているような気持ちになります。

命がけで箱根を通過していく旅人たちは、さぞかしこの地蔵菩薩に慰められたことでしょう。

 

関連記事

  1. 寄り道東海道

    大師河原 慶安の酒合戦(水鳥の祭)

    慶安元年(一六四八)、大師河原で歴史に残る酒合戦が行われました。…

  2. 寄り道東海道

    帯笑園

    旧東海道原宿の中心部からほんの十数メートル南に入ったところに、原の素封…

  3. 寄り道東海道

    八丁味噌

    岡崎城から西におよそ八百メートル、愛知環状鉄道の中岡崎駅の西に八帖町と…

  4. 寄り道東海道

    名古屋城

    伊勢は津でもつ 津は伊勢でもつ 尾張名古屋は城でもつ江戸城は別…

  5. 寄り道東海道

    長安寺(関寺)

    大津の本陣跡を過ぎ西近江路(国道一六一号線)を南下、進行方向右手の山裾…

  6. 寄り道東海道

    浜松城

    東海道は連尺の交差点を左折し南に向かいますが、右折し北に四百メートルほ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

連載記事

アーカイブ

  1. 寄り道東海道

    小田原城
  2. 祭祀風景

    往馬大社の火祭り
  3. 連載 紀行エッセイ「歩いて旅した東海道」

    大津
  4. 古社寺風景

    勝尾寺
  5. 連載 紀行エッセイ「歩いて旅した東海道」

    岡部
PAGE TOP