心に留まった風景

琵琶湖畔 志那浜に集う渡り鳥

冬になると琵琶湖には様々な種類の渡り鳥がやってきます。

琵琶湖は南北に長く、北と南では気候が異なります。昨年渡り鳥を見に行ったのは、長浜市湖北町の湖岸でした。ここまで来ると琵琶湖の北端もすぐで、水深が深く水もきれいですし、湖岸には葭が茂り周辺には田圃も多く、水鳥には格好の場所です。ちなみに対岸の高島市新旭にも水鳥が多く集まる場所がありますが、ここも湖北町に近い自然環境です。湖北町の野鳥センターによると、今年の一月に琵琶湖全体で九二四羽のコハクチョウを確認し、そのうちの七六八羽が湖北、一五六羽が湖西だったそうです。九二四羽というのは過去最高だとか。東北や北陸の大雪の影響のようですから手放しには喜べませんが、鳥たちに琵琶湖を知ってもらえたのはよかったと言えるでしょう。

 

今年は琵琶湖の南、草津市志那浜の様子を。

琵琶湖は琵琶湖大橋を境に、北を北湖、南を南湖と言い、志那浜は南湖にあります。南湖は北に比べて湖岸の開発も進んでいますし、レジャーのヨットやボートが出ることも多く、水鳥が羽を休めることのできる場所も限られてきますから、これだけの水鳥が集う志那浜は南湖では貴重です。この日ここで確認されたのは、オナガガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、スズガモ、ヒドリガモ、オオバン、ホオジロガモ、カンムリカイツブリ、カイツブリ、カルガモ、オカヨシガモ、カワウなど。

 

 

 

志那浜は公園として整備されているので、自然のままの琵琶湖畔ではないのですが、毎年やってくる鳥たちはそれなりにこの場所を気に入ってくれているのでしょう。ときどき岸にあがり、草をついばんだり、陽差しの下で気持ちよさそうに居眠りをしたり…。

持っていたビニール袋の音を聞きつけ、何かもらえると思って近づいてくる彼ら。こんなに警戒心の薄い鳥がいる一方、同じ志那浜でも人への警戒心が強いグループは、少し北よりの湖にいて、岸に近づくこともなく、ましてやあがってくることもありません。

 

十数年前は志那浜にもコハクチョウが飛来し、毎冬楽しませてもらいましたが、このところあまり姿を見かけなくなりました。葭が減ったからとか、轟音を立てて走るモーターボートに危険を感じたからとか、何か理由があるのでしょう。

春のような陽気に誘われてか、湖岸にイタチが現れました。

 

 

石の隙間に隠れたかと思うと、またひょっこり出てきたり。岸に上がっている水鳥たちは珍客に動じることもなく、草をついばんでいました。

志那浜では野鳥との距離が近く、間近に観察できます。それがここの良い点ですが、公園に来るのは野鳥に関心がある人ばかりではありません。観察小屋を設置し水鳥を観察しながら、野鳥を驚かせることのないよう監視を続けている「草津湖岸コハクチョウを愛する会」の方々も、ご苦労が多いのではと思います。

湖北ではコハクチョウの北帰がもう始まっています。志那浜でこの風景を目にすることができるのも、あとわずかです。

 

 

 

 

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